ピンク色のボブヘアに、ビビッドピンクのワンピース。街でもひときわ目を引く“全身ピンク"の装いで、「PINK MONSTER BELLA(@taeko_offical)」として発信を続ける63歳のBELLAさん。その鮮やかな姿からは想像できない過去がある。自身を“元・地味主婦"といい、自分のことは後回しにしていた40代で10年間のうつを経験、自宅に引きこもってばかりの自分が大嫌いだったという。「このまま人生を終えたくない」。そんな思いから手に取った一着のピンクが、止まっていた人生を少しずつ動かし始めた。60代で自分らしさを取り戻した彼女に、「好き」を貫く生き方について聞いた。
【ビフォーアフター】無難な服しか選べなかった過去から激変!鮮やかなピンクドレスで街を楽しむ今の姿
■10年間うつ状態で引きこもった末、目覚めたのは“ピンク"という色
――10年間、うつ状態で引きこもっていたと伺いました。当時はどんな毎日を過ごしていて、一番つらかったことは何でしたか。
「10年間、ほとんど家の中で過ごしていました。近くのスーパーに行くぐらいで、外に出ることも、人と会うことも減って、毎日が止まっているような感覚でした。一番つらかったのは、自分が自分じゃなくなっていくように感じたことでした」
――「ピンクを着てみよう」と思ったきっかけは何だったのでしょうか。その日のことを覚えていますか。
「あまり覚えていませんが、なんとなくこれまで避けていた薄いピンクを選んだと思います。特別な理由があったわけではなく、このまま終わりたくないという気持ちだったと思います」
――灰色の服を手放し、ピンクを選ぶのは大きな決断だったと思います。あの時、一歩踏み出せた理由をご自身ではどう振り返りますか。
「正直に言うと、大きな決断というより『もう何も失うものがなかった』という感覚に近かったです。だからこそ、今まで選ばなかったものを選べたのだと思います。もう失うものはないと思えたので、だったら最後くらい自分が着たいものを着てみよう。そういった開き直りもあったと思います」
――全身ピンクの生活は何年になりますか。洋服や小物はどのように集めていて、続けるうえで苦労していることはありますか。
「全身ピンクの生活は約3年になります。服や小物は直感で“ときめくもの"だけを選んでいます。好きなものが日本には少なくて海外通販サイトになるので、簡単に手に入らないのが苦労かな?それも楽しみなんですけど」
――全身ピンクになった当初、ご家族や友人、街の人たちはどんな反応でしたか。印象に残っている出来事があれば教えてください。
「家族は意外と受け入れてくれて、反対させない私の圧が大きい。世間では、実際に『きもい』と言われたこともあります。そりゃそうでしょう。全身ピンクですから。でも同時に、『元気をもらえる』と言ってくださる方も増えていきました」
――「私にとってピンクは復活と平和」とも発信されていますが、その言葉にはどんな思いが込められているのでしょうか。
「私にとってピンクは、ただの色ではありません。長い間、自分を失っていた私が、もう一度人生を楽しむきっかけになった色です。過去の苦しみから抜け出し、自分を大切にすること。そして、人に優しい気持ちや明るい気持ちを届けること。その意味で、ピンクは私にとって『復活と平和』です」
■「何歳でも、自分の人生の“主人公"に戻ることはできる」
――ご発信されている「ファッションは反抗」という言葉も印象的でした。誰に対して、あるいは何に対する反抗なのでしょうか。
「反抗する相手は、人ではなく『こうあるべき』という固定観念です。年齢だから、立場だから、普通はこうするべき。そういう見えない枠に対する反抗です」
――ピンクを着るようになって、ご自身の気持ちや人との関わりなど、一番大きく変わったことはありますか?また、60代になってから「自分を好きになれた」と感じた瞬間があれば教えてください。
「ピンクを着るようになって、一番変わったのは 人との距離です。前は、自分から人に近づくこともなかったし、どこか閉じていた。でも今は『一緒に写真撮ってください』と声をかけられる。知らない人が笑ってくれる。可愛がってくれる人が増えた。ピンクが、人との間にあった壁を勝手に壊してくれた感じです。
今では『仕事は何をしていますか?』と聞かれることもあります。その場面でも私は『ピンクを着ています』と答えます。好きなものを貫いた結果、人との出会いや新しい役割が自然と生まれました。
また、60代になって自分を好きになれた瞬間は、“似合うかどうか"をやめた時。似合うかどうかを捨てたら、人生が始まった感覚です。好きなものを着て、好きに生きていいと決めた時、やっと自分に戻れた気がしています」
――全身ピンクのスタイルを楽しむ一方で、好きなことを貫くからこその大変さや葛藤を感じたことはありますか。
「あまり葛藤はなかったです。むしろ『もう好きに生きよう』と決めてからは迷いが減りました。もちろん、周りの目や批判的な声がゼロではないけれど、それよりも自分を偽っていた頃のほうが、よほど苦しかった。だから今は好きなものを貫くことが 大変というより、自然なことになっています」
――この挑戦は50、60代だったからこそできたと思いますか。年齢を重ねたことで変わった価値観があれば教えてください。
「年齢はあまり関係ないと思っています。大切なのは『自分がどうしたいか』だと思います。ただ、年齢を重ねたことで『人生を楽しみたい』という気持ちがはっきりしました。好きなことと、やりたくないことの線引きができるようになったことは大きいです。だからこそ、ピンクを着て自分を表現することも迷わず選べました」
――自分の「好き」を素直に表現したいのに周りの目が気になってしまう人や、年齢を理由に「もう遅い」と諦めてしまう人へ、メッセージをお願いします。
「何歳でも、自分の人生の“主人公"に戻ることはできます。周りの評価はガン無視です。自分が心から嬉しいと思えるものを大切にしてほしいです。私はピンクを着たことで、自分の人生をもう一度好きになることができました」
(提供:オリコン)
7月30日 8時40分配信