KKB鹿児島放送の番組審議会は、志學館大学教授の原口泉さんを委員長に県内の有識者9人で構成され、放送番組の向上と適正化を目指して意見を交わしています。
今回は、2月18日(日)に放送された自社制作番組「テレメンタリー2024『馬毛島〜無人島が基地になる日〜』」について審議しました。主な内容は次のとおりです。
審議番組
「テレメンタリー2024『馬毛島〜無人島が基地になる日〜』」[令和6年2月18日(日)]
- タイトルから受ける番組のイメージと実際に番組を見た感想は大きく違った。馬毛島は一つの例であり、馬毛島に絡む日本の防衛や外国との関係、過疎を抱えた地域行政とその対策などいろんな問題が30分の短い番組の中で垣間見えた。また一方的な立場に偏ることなく、両方の考え方を出していたのは公平性があって良かった。
- 多くの政治家がコメントしていたが、賛成の立場の人たちしか登場しなかったことが気になった。目の前のお金や対策が大事なんだなという印象を受けた。反対している政治家もいると思うので、両方の意見をバランスよく取り上げてほしかった。かつて馬毛島に住んでいた人たちが、変わっていく故郷の姿をどう見ているのか、そういう声もあっても良かったのでは。
- 全島避難訓練から屋久島沖でのオスプレイの墜落事故、そして馬毛島の基地整備。のどかな無人島だったところに建物が次々とできていく映像が時系列で流れていく。目で訴える、視覚でモノが見えてくるというのは、想像するよりも非常に恐ろしい気持ちにさせられた。日本は今、何をなすべきか、私たちに何ができるか、視聴者に問いかけるそんな番組だったと思う。
- 30分番組という制約があるなかで、情報を詰め込みすぎて深掘りに欠けた感があった。南西諸島での国防の体制の変化を伝える意図だったとは思うが、タイトルの馬毛島が宝の島から基地の島へ変化するまでの経緯などをもっとじっくりと見たかった。目をそらすことができない問題でもあり、客観的に様々な視点から今後も情報を伝えていってほしい。
- 唯一の正解がないからこそ、皆が自分事として考え、議論し、一定の方向性を見出していくことが大事なのだろうと感じた。そのためには正しい情報が提供されることが大前提で、KKBでも今後も取材して、正しい情報を伝えてほしい。
- 防衛問題をテーマに取り上げる時には、一歩引いた立場で客観的に「今、何が起きているのか」「なぜ起きているのか」ということを、事実を示しながら作ることが大事で、そういう意味では馬毛島や南西防衛問題を考えてもらうための教科書になるわかりやすい番組だったと思う。