息子のジーンズをリメイクしたら…

 息子が着なくなり、長く放置されていた3本のジーンズ。それらを、“お直しのプロ"として働く母が“ハイセンス服"へとリメイクした動画に74万再生を超える反響があり、「神の手の持ち主」「こんな母ちゃん素敵が過ぎるわ」「想像を遥かに超えてきて…すげぇ!」など称賛の声が相次いでいる。ご夫婦でジーンズリペアのお店「Jeans Repair GOEMON」(@goemon_onaoshi)を営むさくらさんに、今回のリメイクとファッション産業における大量廃棄について話を聞いた。

【写真】息子のジーンズ、リメイクした完成品は…?

■3本のジーンズがライダースに大変身!

――動画『息子に捨てられたジーンズ達の逆襲』に大きな反響がありました。まずは、リメイクの背景についてうかがえますか?

「大学生になる息子のバイト先(アパレル)では、店頭に出ている旬な商品を着用するというルールがあります。必然的に洋服が増えますし、残念ながら全く着用しなくなる物も出てくるため、ずっともったいないなと思っていました。そんなある日、洋服の整理をしていたところ、長い間眠っていたジーンズを発見。息子がびっくりするようなアイテムに変身させようと思いたち、処分する体で私が引き取ったんです」

――息子さんは、その時は何も知らずに?

「そうです。とにかくびっくりさせたかったので、息子には処分するとだけ言って工房(仕事場)に持って行き、時間ができた時に作ろうとしばらく保管していました」

――ジーンズのリメイクというと、バックやポーチ、小物などが頭に浮かびますが、出来上がったのは、まさかのライダースジャケット…! 

「私自身ライダースが大好きで、これまでもデニムはもちろん、ミリタリーのテント生地やスウェットなどを使って製作してきました。『意表を突いた物作り』が好きなので、せっかく自分で洋服が作れるのなら、売っていなさそうなものを作ってやろう!という気持ちが強いみたいですね(笑)」

■ライダースを着用した息子 大学のファッションショーでランウェイに

――「ママジェラ」のハッシュタグも秀逸で、クスッとさせられました。

「背面に、それっぽい手縫いのステッチを入れたら面白いかも、と思いたって挑戦してみました。怒られそうなギリギリのところではありますが、『ママジェラ』にしたら許されるかな…と(笑)。息子のために作ったものなので、とにかく息子がひと笑いしてくれたら私はそれで満足です」

――リメイクされたジーンズを見た時の、息子さんのリアクションはいかがでしたか?

「喜ぶというよりビビっていましたね。若干引いている感じで『まじでスゲェ…』と呟いていました。ちなみに『ママジェラ』には笑ってくれたので、大成功です!」

――おめでとうございます! このライダースジャケットを着て出かけたら、注目を集めそうですね。

「実はタイミング良く、大学で行われたファッションショーのモデルに息子が抜擢され、このライダースを着用してランウェイを歩くことになりました。周りの友だちからの反響もすごかったそうです。息子は『これを着てファッションショーに出られるのは誇らしい』なんて言ってくれましたが、お前もがんばれよって思いました(笑)」

■大量消費の時代に、お直しのプロが思うこと「そりゃ壊れる、という構造のものも多く…」

――近年、ファッション産業の大量生産・大量廃棄、製造時の環境負荷などが国際的な課題となっています。「お直しのプロ」として、この問題をどう思っているか率直なお気持ちをお聞かせください。

「世界の大きな流れを個人で変えることは難しいですが、ご依頼いただいたお客さまには誠実に向き合うようにしています。例えば、私たちのところにくる修理依頼には、経年によりダメージができてしまったものと、購入してから間もなく壊れてしまったものがあります。後者の場合、『こんな作りをしていたら、そりゃ壊れるよね』という構造のものを良く目にするので、購入された方が本当に気の毒になるんです」

――修理して再び使うことは難しいのでしょうか?

「もともと壊れやすい構造で作られているものは、きれいに直したとしても、また同じトラブルに見舞われることが多いですね。ご依頼いただいた方には、そのあたりをしっかり説明して、納得していただいた上で、なるべく長持ちするよう修理するように心がけています。ときには諦めてもらうこともありますが…」

――修理さえできないというのは辛いですね…。

「アパレルは大量廃棄が問題としてあがりがちですが、もし生産するのであれば、壊れにくかったり、直しやすかったり…そんな、購入する人に対して思いやりのある洋服が増えていったら良いなと思います」

――YouTubeチャンネルやInstagramでは、お直し屋さんの視点から「失敗しない古着の選び方」、「洋服との上手な付き合い方」、「お直し屋さんの見つけ方」などを発信されています。こうした投稿を通じて、最も伝えたいことはなんでしょうか。

「最も伝えたいことは、この仕事の奥深さです。リペアの職人はこれまで“裏方"というイメージでしたが、近頃はSNS(動画)を通じてどんどん表に出られるようになってきました。これまでも、技術者向けに『お直し技術が見られる動画』は配信されてきたようですが、今後はもっと様々な人に『洋服(古着)を購入する際のポイント』や『お直しにはいくらかかるのか』などを伝えていけたらと思っています」

――目安となる料金が分かると、頼む方としては本当に助かります。

「今までお直しに出したことのない人にとって、一番気になるのは金額ですよね。うちのInstagramでも、お直し事例と料金をきっちり掲載するようにしています。そのほか、古着屋さん向けに『販売前の古着に使えるお直し術』を発信していくとか…いろいろと投稿ネタは尽きません。年を重ねるたびに説得力が増していく所も、この仕事のお気に入りポイントです」

(提供:オリコン) 12月4日 7時50分配信

大学生の息子さんが処分予定だった3本のジーンズ。その後…?

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