訪日客への新幹線補助に賛否 街の声は?専門家は?
けさのJR鹿児島中央駅前。スーツケースを持った人が行き交うなか、外国人観光客の姿もありました。
【小田アナリポート】
「全国的にインバウンド需要が高まるなか、鹿児島に外国人観光客を呼び込もうと、県が打ち出したのが、九州新幹線を活用した需要喚起策です」
その計画というのが、外国人観光客を対象に九州新幹線の博多駅から鹿児島中央駅までの片道料金を全額助成するというもの。
対象は県が有望な市場と位置づけるアメリカやシンガポールなどの観光客。
県内の宿泊施設に1泊以上するのが条件で、新年度の当初予算案におよそ2億7800万円を計上しています。
【塩田知事】
「この実証事業では、外国人観光客2万人の利用を見込んでおり、これらの方々による県内での観光消費額は約17億円と推計され、観光関連産業の稼ぐ力の向上に寄与するものと考えている」
県が掲げる観光の「稼ぐ力」の向上。おととしの県内の外国人の延べ宿泊者数はおよそ62万人で、コロナ禍前の7割程度にとどまっています。
鹿児島空港では香港線の運休、上海線の欠航が続いていて、影響が懸念されるなか直行便以外でのインバウンドの拡大を図るねらいです。
おととしの鹿児島を訪れた外国人1人あたりの観光消費額はおよそ8万6000円で、日本人のおよそ3万円と比べ、3倍ほど高くなっています。
ところが計画をめぐっては、県に170件以上の意見が殺到。そのほとんどが「不公平」「外国人優遇」といった批判的な内容だといいます。
街の人はー。
「税金は県民に使ってほしい」
「外国人に来てもらうのもいいことだが、地元の人の得になることをしてもらう方がうれしい」
「活気がある方がいい。外国人がたくさん来てくれるといいと思うが、明確な目的と結果を示してくれないと心配になるという気持ちがある」
予算を審議する県議からも…。
【大久保博文県議】
「議員から多くの疑問の声が上がっている。今後、予算特別委員会等において徹底した議論が必要」
賛否が分かれるなか、県は「観光振興のためにはインバウンドの誘致に取り組むことが重要」として事業の目的を丁寧に説明していくとしています。
中国人観光客が大幅に減るなかでインバウンドを呼び込もうという県の施策ですが、賛否がありますね。
お伝えしたように県はこの計画で17億円の観光消費を見込んでいます。そのあたりの「効果」について九州経済の専門家に意見を聞きました。
【シンクタンク・バードウイング代表 鳥丸聡さん】
「今は(インバウンドの)量よりも質をどう高めるかになっている時。タイミング的には後手に回ったという感じ。福岡や熊本と連携してやっていくような工夫があったほうがよかったのではないか」
鳥丸さんは県の新幹線代補助に批判的な立場です。
「これだけ世の中の物価高が問題になっていて、そのタイミングでインバウンドの量をもっと増やすよう政策なを出してくるのは、県民感情を逆なでする」
一方で、九州に訪れるインバウンド観光客の8割が福岡経由なのは事実で、福岡を訪れた観光客に対し鹿児島の認知度を上げることは重要だといいます。
「福岡空港、あるいは博多駅と鹿児島はこんなに近いというのを知ってもらう。交通政策課マターとして留めるのではなく、それ以外の中小企業政策や商工会議所、観光関連の団体などを巻き込んだ形でインバウンド観光客に、鹿児島の自然・歴史・文化を満喫してもらう」
26日の会見で県の計画について問われたJR九州の古宮社長は…
【JR九州 古宮洋二社長】
「我々としては、鹿児島は色々魅力的な所があるので、鹿児島を宣伝することは九州内の活性化にもなるし、収入にもつながる。各県との連携はこれからもしていきたい」
JRの利用が少ない熊本駅より南の活性化に期待感を示しました。
経済の専門家の鳥丸さんは県の計画に批判的でしたが、一方でこのようにも言っていました。
「鹿児島のお家芸である「食」で外国人にアピールできれば十分に勝ち目はある」
福岡に来る外国人観光客にいかに鹿児島の食をアピールしてこちらまで誘い込めるか、実施するならば総合的な戦略が欠かせません。