津波避難 歩いて高台へ避難 記者が体験 「高い建物」「高台」の状況は?
津波の避難は原則、徒歩とされています。
高台への避難を想定し、実際に記者が歩いてみました。
鹿児島市の鹿児島市電・中郡電停周辺は海側に津波避難ビルとなる高い建物が集中していて、緊急時は高台となる紫原方面への避難も想定されます。
実際に高台にある約900メートル離れた緊急指定避難場所の近くまで歩いてみました。
途中に階段もあり…徒歩とは言え、体に堪えます。
(田上 記者)
「まもなく高台なんですが、太ももが張ってきていて、とてもきついです」
ようやく、約900メートル離れた高台に到着しましたが…
(田上 記者)
「32歳の私が歩いて約10分かかりました。仮に私がけがをしていたり、もしくは高齢者がここまで歩ききれるか考えると、かなり負担が大きいように感じます」
緊急時はさらに車や人で混雑が想定され、1人で避難することが難しい子どもや高齢者などの災害弱者を社会がどう守るのか、課題は残っています。
津波に備えて避難する高い建物や高台、各地の状況はどうなっているのでしょうか?
緊急時に避難できる“高い建物”が多い鹿児島市の繁華街。
市が指定する津波避難ビルは9月時点で、民間51、市や国の施設17の合わせて68施設です。
これらのビルはハザードマップでみると青色の浸水想定区域にあります。
高い建物がない地域はタワーも建設されています。
こちらは肝付町南方の避難タワー。
2019年に完成、鉄筋コンクリート製で3階建て、最大660人が避難できる想定です。
この辺りは海抜が4メートルあまりですが、屋上に上ると13メートルの高さになり、東日本大震災クラスの津波にも対応できます。
この地域は高齢者が多く、近くに高台や高い建物も少ないのです。
(住民)
「元気な人は(タワーに)上れるが、年配の方や足が不自由な方は大変。実感として(大地震が)来た時のことをまだ真剣には思っていない」
一方で、こんな施設も。
太平洋に面した千葉県匝瑳市。津波避難タワーは現在“使用禁止”です。
ボロボロに錆びて柱も腐食が進んでいます。
完成当初は30年以上もつというふれこみでしたが、柵や床も無残にさびつき、足を踏み入れるのも危険な状態です。
南海トラフ巨大地震や日向灘地震による大規模な津波に備え、防災意識をさらに高め、施設を充実させることが急務です。