45年間 花屋のない離島にカーネーションを届けた男性
45年間、離島の子どもたちにカーネーションを贈り続けた男性がいます。「お母さんに感謝の気持ちを伝えて欲しい」。今年で最後の花が届けられます。
【田知行 義久さん】
「きょうは211本だったかな」
華やかに赤く色づいたカーネーションを1本1本丁寧にラッピングするのは鹿児島市で花屋を営む田知行義久さん。贈り先は三島村と十島村の子どもたちです。
田知行さんは45年前に三島村、44年前からは十島村にも母の日に合わせて村の子どもたちに無料で花を届けてきました。きっかけは離島の子どもたちと交流を深めることともうひとつ、花屋がない島に花を届けたいという思いでした。
【田知行 義久さん】
「お母さんとけんかをしてたと。だけど田知行さんにもらったカーネーションの花をプレゼントしたら仲良くなれましたと。ありがとうございました。という手紙を頂いた時にそんな風にも役立ってるんだなと思って」
父の姿を見て来た息子の義仁さんは、離島の子どもたちに花を贈る父親が誇らしかったと言います。
【田知行 義仁さん】
「手伝えるときに島の子供たちに感謝を届ける時ぐらい、僕も手伝って(父親に)感謝一緒にできたらいいなと思ってやってます」
今後も花屋の経営は続けますが、島に花を贈るのは今年で最後と決めました。
【田知行 義久さん】
「来年からもらえなくなるという悲しさは本当は作りたくないんだけど、元気なうちで30代で始めた花贈りですから、77歳になるのでそろそろいいのかなって」
花を贈る最後の作業を終えた夕方。十島村行きのフェリーターミナルには村の職員が待っていました。田知行さんの211本のカーネーションが船に積み込まれ、10日、島の子どもたちに届けられます。
【田知行 義久さん】
「花っていうのは正直、私の人生を助けてくれた1つかな。お父さん、お母さんありがとう。これからもよろしくって花を持った状態で伝えてくれたら幸いだと思います」