南さつま市 万世特攻平和祈念館で特別企画展 特攻隊員たちの軌跡と想い 鹿児島


 今年で戦後80年。南さつま市の万世特攻平和祈念館では1日から特別企画展が始まりました。


【リポート 宮城智之 記者】
「南さつま市加世田には昔、万世陸軍飛行場がありました。今でも門が残されていて、かつては特攻隊員が通っていったそうです」


 万世特攻平和祈念館は、太平洋戦争末期に建設された「万世飛行場」から出撃した特攻隊員の遺品や遺書などを展示しています。

 今年は南さつま市の市政施行20周年と、戦後80年が重なる節目の年にあたり、1日から8月末まで特別企画展が開かれます。

【万世特攻平和祈念館 管理事務員 小屋敷茂 さん】
「断片的な資料の展示でなく、80年を経て万世でどういう出来事があったか、そういう事柄をわかりやすくするには、年表形式にした方が良いだろうと考えた」


 企画展では万世飛行場から出撃した日付に沿って、特攻隊員たちの軌跡がパネルや遺品と共に紹介されています。今回初めて公開される遺品もあり、27人の特攻隊員の手紙や遺書を通じて、当時の心境や出撃前後の出来事を知ることができます。


【県外から(20代)】
「ここまで詳細に時系列で並べてあるのは初めて見たので新鮮。こうしてみんな飛び立っていったのだなというのが分かっていい経験になった」

【県外から(30代)】
「両親への感謝の気持ちを10代20代前後の若者が綴っていて、国のために出撃するのを誇りに感じてもいるし「お母さんお父さん、感謝の気持ちをこれだけしか伝えられずごめんなさい」という気持ちも残していて、とても複雑だと思う」


 鹿児島県出身で第72振武隊の久永正人少尉は出撃を前に、両親にあてて遺書を記しました。

【久永少尉の遺書】
「正人も軍人最大の名誉とする特攻隊の大命を拝し勇躍出発します」

 出撃前夜には最期の宴を抜け出し、電話で両親と涙ながらに話をしたそうです。

 久永少尉と同じ部隊に所属していた群馬県出身の荒木幸雄少尉は、出撃当時17歳。出撃を間近に控える中、飛行場を駆け回る子犬を見て、昔飼っていた犬を思い出し、抱き上げたそうです。その時の様子が写真に残っています。


【万世特攻平和祈念館管理事務員 小屋敷茂 さん】
「笑顔で歯が見えている。あと2時間後に出撃されるのに、ニコッと笑って写真を撮っている。普通の人であれば下を向いて涙を流している」


 5月27日、久永少尉と荒木少尉は沖縄に出撃し、その生涯を終えました。

 およそ200人の特攻隊員らがそれぞれ思いを胸に、万世飛行場から飛び立ちました。


【万世特攻平和祈念館管理事務員 小屋敷茂さん】
「いつまでも戦後が続くようにという思いを込めまして、企画展を通じて平和を祈る心が伝わっていけばありがたい」

 万世特攻平和祈念館の特別企画展は8月31日まで開かれています。

 
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