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新木優子、20代なかばが転機に

 歌手で俳優の中島健人が主演するNetflixシリーズ『SとX』が8月20日から配信される。多田基生氏の漫画『SとX〜セラピスト霜鳥壱人の告白〜』(講談社「モーニング」刊)を実写化。主人公のセックスセラピスト・霜鳥壱人(中島)と惹かれ合うヒロインの市之瀬佑美役を俳優・新木優子(32)が演じている。

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 霜鳥と幼なじみで、ある事件をきっかけに離れ離れなってしまったアナウンサー・佑美。霜鳥と再会したことで始まる恋愛や仕事に対して葛藤する女性を等身大の自分で向き合った。主演・中島健人へのリスペクトや作品、そしてかつて抱えていた佑美とも重なる悩みについても語ってくれた。

■中島健人が演じる“霜鳥先生"に興味 現場でのプロフェッショナルぶりに感動「とてもエンターテイナー」

――まず初めに、オファーを受けた心境を教えてください。

作品のお話をいただく前に原作を読ませていただいて、純粋に作品がとても面白く、センシティブな内容ではありながら、多くの人がどこかで抱えている悩みを真正面から取り上げていると感じました。私自身も佑美というキャラクターにも共感できる部分がありましたし、霜鳥先生の言葉からは性に関することだけではなく、精神面についても多くのことを学びました。考え方や生き方のヒントをもらえる作品だと感じ、「演じてみたい」と素直に思えたので、とてもうれしかったです。

――不安よりも、「やってみたい」という気持ちのほうが強かったのでしょうか。

そうですね。中島健人さんが演じる霜鳥先生を見てみたいという気持ちも大きかったです。以前から、中島さんはとてもプロフェッショナルな方だという話をたくさん聞いていました。その中島さんが演じる霜鳥先生なら、きっと説得力のある人物になるだろうと思いましたし、その姿を見てみたいと思いました。私はその先生を支える役でもあったので、不安よりも「面白そう」という気持ちのほうが強く、とても前向きな気持ちでした。

――「中島さんが演じる霜鳥先生を見てみたい」とのことですが、実際に共演してみていかがでしたか。

想像していた以上の霜鳥先生でした。中島さんが演じることで、霜鳥先生の優しさや気遣いがより伝わってきました。役として見れば見るほど、ご本人の人柄とも重なる部分がありました。私の中の中島さんは明るいイメージでしたが、役に入ると包み込むような優しさがあり、休憩中と本番では印象が違いました。その切り替えも本当にすてきでした。私が想像した以上の霜鳥先生でした。

また、「悩んでいない人なんていません」という言葉がとても印象に残っています。その言葉の内容だけではなく、伝え方が本当にすばらしかったです。セラピストという仕事は、安心してもらうための言葉の届け方が大切なのだと、中島さんのお芝居を目の前で見て実感しました。とても贅沢(ぜいたく)な時間でした。

――実際に役を離れた中島さんはどんな方でしたか。

とてもエンターテイナーです。気遣いもすごくて、以前少し話した内容も覚えていてくださいます。プロテインや食事について話したことがあったのですが、次の撮影の日に「この前話していたものだよ、味見してみて」と持ってきてくださって。ささいなことまで覚えてくださってうれしかったですし、気遣いの人なんだと感じました。それがナチュラルでもあり、彼の真面目さ、まっすぐな部分を感じることができました。

――撮影中に、中島さんのプロフェッショナルな一面を感じた出来事はありましたか。

この作品は暑い時期の撮影だったので、汗をかくことへの対策を徹底されるなど、周囲へ相談しながら対処する姿勢が本当にすごいと思いました。現場では常に笑顔で、どんなときも周囲が楽しく過ごせるように気を配ってくださいました。長期間の撮影では、思うように進まなかったり、現場が少し緊張した空気になったりすることもありましたが、中島さんが場を和ませてくださることが本当に多く、そのおかげで撮影もスムーズに進んでいました。

――中島さんのことは最初から「ケンティー」と呼んでいたそうですね。

はい。初対面から「ケンティー」と呼ばせていただきました。最初は中島さんも「え!そんなふうに呼んでくれるの?」と驚かれていましたが、とても明るく受け入れてくださいました。その後、「僕はむしろ何て呼べばいい?」と聞いてくださって、「好きなように呼んでください」とお伝えしたら、「優子ちゃん」と呼んでくださるようになりました。最初からすごく安心感があって、「一緒に作品を作っていくのが楽しみだな」と思えました。

――佑美はアナウンサー役ですが、今回レッスンも受けられたそうですね。いかがでしたか。

発音の仕方や、濁音の発声、聞き取りやすい発音など、本当に細かな部分まで学び、普段は気にならないようなことまで意識するようになりました。実は自分の滑舌にはあまり自信がなく…、撮影のときに自分ではこう話したつもりでも、完成した映像を見ると印象が違うことがよくありました。その難しさと改めて向き合う機会になりました。

演技は表情や服装、音楽などさまざまな要素が合わさって感情を表現しますが、今回のレッスンを通して、声のトーンや質も、その人物を表現する大切な要素なのだと実感しました。自分が普段どこから声を出しているのか、アナウンサーの方々がどんなことを意識して話しているのかを知ることができ、「これだけ努力されているから、それは毎日のニュースが聞きやすいな」と。学ぶことばかりで、久しぶりに学校へ通っているような感覚でした。

――完成した作品をご覧になって、手応えは感じましたか。

現場では手探りで、「こうできてたらいいな」と思いながら演じていましたが、周囲からは「本当にアナウンサーに見えた」と言っていただきましたし、監督も褒めてくださいました。本物かどうかの評価は本職の方に委ねるものですが、自分としては納得のいく演技ができました。
――実際のアナウンサーの方に教わってみて、印象はいかがでしたか。

普段話しているときもハキハキされているのはもちろん、原稿を読む瞬間の切り替わりや声質の変化がまったく違っていて…。研修なども担当されている方だったので、教え方もとても分かりやすく、純粋に楽しかったです。これほどプロフェッショナルな方に直接教えていただける機会はなかなかないと思い、一生懸命学びました。口の動きまでずっと見てしまいました(笑)

――初めて知ったことや勉強になったことはありましたか。

ニュースでは「日本」を「ニッポン」ではなく「ニホン」と読むなど、読み方が統一されていることを知り、とても驚きました。また、鼻濁音など、音と音を自然につなげて聞き心地を良くする発声法も、とても勉強になりました。実際のニュースをみても裏側にある努力を感じるようになりましたし、アナウンサーという仕事への尊敬の気持ちが、より大きくなりました。

――佑美という人物について、どのようなところに魅力を感じましたか。

佑美には昔の自分と重なる部分がありました。当時の私は、自分の言いたいことや思っていることがあっても「周りはどう思うだろう」「こうしてほしいだろうな」と考えすぎてしまい、気持ちを言えなかったり、本心とは違うことを言ってしまったりしていました。自分の考えがあっても、それを貫く意志の強さを持てない時期があったんです。佑美も上司との関係の中で、モヤっとしたり。客観的に見ると上司も自分の役割を全うしているだけで、決して悪い人ではありません。その関係性もとてもリアルでした。

――どのようなところに自分と重なる点を感じましたか。

私自身も、自分の思いを素直に伝えられないもどかしさを経験してきました。自分の中にあるフィルターをなくしたいと思っていましたが、そのフィルターは自分を守るために必要なものでもあったと思います。いろいろな人が意見をくれたり、間違いを正してくれたりすることで守られてきた部分もたくさんありました。佑美自身は、まだそのことに気づいていない段階で、殻を破ろうともがいています。その姿にとても共感しました。

また、自分の気持ちをぶつけられる相手がいる安心感もよく分かります。私自身も、友人や親しい仕事仲間に気持ちを打ち明け、話を聞いてもらった経験があります。佑美にとっては霜鳥先生や、山口紗弥加さん演じる詩音がその存在です。役作りの際にも、「どこからこの人物に入ろう」と悩むことはなく、人柄や人生のトーン、抱えているモヤモヤがすっと理解できたので、とても演じやすく、共感できるキャラクターでした。

――自分の思っていることを伝えられるようになったきっかけは何だったのでしょうか。

自分の思ったことを伝えなければ、相手には伝わらないと実感した時期がありました。そこから、たとえ相手と意見が違っていても、まずは自分がどう思っているのかを伝えることが大切だと思うようになりました。

実際に伝えてみると、自分の中にあったモヤモヤやストレスがすっとなくなっていく感覚がありました。自分の考えを伝えることで、相手も私を理解できますし、「これはやめておこう」「こう伝えよう」と相手も考えてくれるようになると思います。

その結果、友人との関係も仕事も、コミュニケーションがとても円滑になりました。心身ともに心地よく過ごせるようになり、眠りやすくもなりましたし、「周りも自分を理解してくれている」という安心感も生まれました。

そして何より、自分の意見を伝えることは、自分自身を肯定することでもあると感じました。自分のことを肯定してあげて、一番の味方になれるのはきっと自分。自分を大切にする方法には、身体のケアやリラックスする時間を持つことなどいろいろありますが、私にとって足りなかったのは、自分の思いをきちんと伝えることでした。「これは言ってはいけない」と怖がるのではなく、まずは伝えてみる。それは自分を大切にすることにもつながる。その大切さに気づけたことは、人生の中でもとても大きな出来事でした。

――それはいつ頃のことだったのでしょうか。

20代半ば、25歳頃からです。もちろん、それまでも自分の意見は伝えていましたが、より素直に、自分の気持ちをしっかり伝えられるようになったのは、その頃からだったと思います。忙しくなるにつれて、自分の意見をため込んでしまうと、やりたいことも物事も円滑に進まなくなってしまう。「何かを変えなければいけない」と思ったタイミングでもありましたし、今振り返っても、自分にとって大きなターニングポイントだったと思います。

――佑美はアナウンサーという、人から見られる仕事をしています。周囲からどう見られるかという点の葛藤について共感する部分はありましたか。

その部分はとても共感しました。ただ、私は普段から「こう見られたい」と強く思っているわけではありません。俳優として役を演じるときは、その役に見えることを大切にしていますが、自分自身については、SNSなども含めて全体的な“新木優子"像は作り込んでいる感覚はなく、それぞれが自由に受け取ってくれればいいと思っています。

ただ、自分ではそう思っていても、周囲からは違う印象を持たれることがあって、それがもどかしいというより、面白いなと感じています。私は自分ではカジュアルでざっくばらんな性格だと思っていますが、初対面では「クールっぽい」と思われることが多く、「話しやすくて意外だった」と言われることもあります。でも幼なじみなど親しい友人からは「テレビに出ている優子はまだ本当の優子じゃない」と言われることもあります(笑)。
自分では外向けの顔を作っているつもりはありませんでしたが、自然とスイッチが入っていたんだと、人から言われて初めて気づきました。

――この作品も、性の悩みというデリケートなテーマを扱いながら、根本にはコミュニケーションがある作品だと思います。その点について感じたことはありますか。

時には、いい意味で肩の力を抜くことも大切だと思いました。真面目な人ほど自然でいようとして、かえって自分を作り込んでしまうことがあります。佑美は思ったことをそのまま口にできる人物です。先のことを考えずに「今それを言うの?」というようなことも霜鳥先生に伝えますが、そこに悪気はありません。その後には「あんなに自分は寄り添ってもらっていたのに…」と反省もしていますし、その言葉が先生の考えを動かすきっかけにもなっています。

だからこそ、一度深く考えすぎずに、自分の思ったことを伝えてみることは、コミュニケーションにおいてとても大切だと思いました。

最初は親しい人からでもいいと思います。親しい人なら、一つの発言だけでその人を判断することはありませんし、親や友人など、信頼できる人がそばにいるのであれば、まずは思っていることを伝えてみることが、より良いコミュニケーションにつながると思います。

(提供:オリコン)
8月17日 8時00分配信
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