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採用決まる人&決まらない人に格差

 さまざまな企業で人手不足が叫ばれる中で、35歳以上のミドル世代の中で転職を果たす人はかつてに比べれば増えている。ただ、年齢が上がるほどにそのハードルは高くなり、採用が決まる人と決まらない人の間には格差も生じている。

【画像】元『リクナビNEXT』編集長!黒田真行『いつて?も会社を辞められる自分になる』

 決め手の一つは「自分を言語化するチカラ」だ。ミドル世代専門転職コンサルタント・黒田真行氏の著書『いつでも会社を辞められる自分になる』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成して届ける。

■「私を買ってくれる会社はあるか?」という探し方をする人はうまくいかない

ミドル世代の転職希望者と面談をしていてよく聞こえてくる言葉に、これがあります。

「私を買ってくれる会社はありますかね?」

この考え方は気持ちでは理解できても、ご本人にとって得にならないのであまりお勧めしません。まず押さえておきたいのは、採用する側は、“求職者を雇いたいわけではない"という大前提です。

マーケティングの世界で、セオドア・レビット博士が著書『マーケティング発想法』(1968年)に書いた有名な「穴とドリル」の話があります。4分の1インチのドリルがたくさん売れたのは、4分の1インチの穴を開けたかった消費者が多かったからという事実の裏返しだと。

この話にとてもよく似ています。採用側は単に人がほしいわけではないのです。事業を前に進めたいという欲望が根底にあり、そのために何がしかの課題を解決したり、売り上げを伸ばす必要があるために、それを実現できる力(を持った人材)を求めているだけなのです。

企業側のそんな土俵に乗るために不可欠なのは、「私はこれができます」「私はこれが得意です」「だから買ってくれませんか」ではなく、「自分の持っているスキルで、御社のこういう課題を解決できます」「私の経験値を使って、御社の売り上げアップのこの部分に貢献できます」というプレゼンテーション能力なのです。

「自分を雇ってくれたら、これだけの得をするんだ」ということを合理的に説明できるかどうか。これは、雇用される場合だけでなく、独立・起業で取引先に自分のスキルを売る場合にも同じように必要なスキルなのです。

そのためには、どんな価値を生み出せるかという、自分が提供できる価値を言語化しておかなければいけない。「幾らの報酬が欲しいか」という話は、基本的には成果を上げた後の話になります。

■「あなたを採用すると、企業にはどんな得があるのか?」自分の「価値証明」が必要不可欠である理由

労働力人口が減って、人手が足りない、売り手市場になるのではないか、と言われていますが、マクロでは確かにそうではあるものの、ミクロでは実は逆になっています。

自分を雇ってくれたらこんな価値を生み出せる、という価値証明ができない人は売れません。キャリア領域では、これが近年の大きな大転換でした。

買い手市場だったときには、なぜか身柄を丸ごと買ってくれて、「成果は後で、出た成果に応じて評価する」といったケースが多かった時代もありました。今は、労働力人口が減り、売り手市場になったのに、ギブ&テイクでいうと、ギブが先に求められる。テイクは後、という逆転現象が起きています。

にもかかわらず、このことが理解できずに、価値証明ができない、あるいは価値証明をしないで玉砕してしまう事例が増えています。

もとより近年は、業務がどんどん細分化、分業化されています。たとえば、バイヤーとして調達や購買の仕事をしてきた人でも、業務は細かく分業化され、どの部分で自分のスキルが発揮できたのか、はっきり見えない。だから、調達・購買のスキルの価値について、どう証明していいかわからない。

実際、とりわけ総務や人事、経理などの間接業務を中心に、いろいろな職種でそんな人たちがいます。しかし、「間接部門なので、自分のスキルの価値をうまく説明できません」では通用しません。

■採用が決まる人と決まらない人は「言語化するチカラ」に大きな違いがある

自分が希望する仕事で採用が決まる人は、自分を採用すると、企業にどんな得がもたらされるのかを具体的に語ることができます。相手に対して提供できる価値を説明できるのです。

たとえば、その仕事の中で、どんな課題があって、それに対して自分はどんな創意工夫をしたのか。ビフォーアフターで、どんな変化を生み出したのか。こういうことを語る。これこそが、価値証明です。

価値というと、いくら儲かったのかを言わなければいけないと勘違いしている人がいますが、それだけではありません。価値が説明できればいいのです。

たとえば人事部門にいた人が社内の評価制度を変える取り組みをしたことで、離職率が数ポイント下がったという実績があったとする。それだけでも、企業側から見ると人事のコストが下がる価値を生み出せています。辞める人が減れば、採用数も減らすことができて、採用コストを抑えることができるからです。

こうした価値を証明するための思考を巡らせることをせず、「価値は証明できない」「間接部門だから」と諦めてしまっているケースは、とても多いのです。

■著者・黒田真行(くろだ・まさゆき)
ミドル世代専門転職コンサルタント
1965年兵庫県生まれ、関西大学法学部卒業。1988年、リクルート入社。以降、30年以上転職サービスの企画・開発の業務に関わり、『リクナビNEXT』編集長、『リクルートエージェント』HRプラットフォーム事業部部長、『リクルートメディカルキャリア』取締役などを歴任。2014年、リクルートを退職し、ミドル・シニア世代に特化した転職支援と、企業向け採用支援を手掛けるルーセントドアーズを設立。30年以上にわたって「人と仕事」が出会う転職市場に関わり続け、独立後は特に数多くのミドル世代のキャリア相談を受けている。著書に『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』(クロスメディア・パブリッシング)、『35歳からの後悔しない転職ノート』(大和書房)など。

(提供:オリコン)
5月8日 7時00分配信
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